今回はニューヨーク・シティを走っている地下鉄(MTA)についてまとめて行きたいと思います。ニューヨーカーたちにとっては欠かせない交通手段ですが、日本ではよく、ニューヨークの地下鉄は怖い、であったり危ない、と言われていますよね。実際どうなのか、2024・2025年の現状についてまとめて行きたいと思います。
ニューヨークの地下鉄の概要
まずは、ニューヨークの地下鉄の概要について軽くまとめていきたいと思います。
正式名称:New York City Subway (MTA)
所有:ニューヨーク市
運行地区:マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス
路線数:36
駅数:472
開業:1904年10月27日(121年前)
年間利用者数:約20億人
運賃:2.90ドル(2025年1月現在、今後3.00ドルになる予定)
運行時間:24時間(一日中)
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日本の地下鉄よりも優れていること
評判が悪いニューヨークの地下鉄ですが、なんとかニューヨークの地下鉄の良い点をいくつか見つけたので、ここで紹介したいと思います。
複々線化されている
ニューヨークの地下鉄の最も優れている点は、多くの路線が複々線化されており、各駅停車と急行が別の線路を使っているという点です。
日本の場合、地下鉄の快速・急行運転はあまり盛んではなく、東京の東京メトロ東西線や副都心線、都営新宿線などでのみ運行されています。
また日本では、地下鉄は複々線化されていないので快速・急行と各駅停車が同じ線路を使用しますよね。
しかしニューヨークの場合、この複々線のおかげで、急行運転が多くの路線で行われており、遠いエリア(例えばブルックリン・ブロンクス間)に速く行くことができ、非常に便利です。
運賃が均一
2つ目の長所は、どこまで乗っても運賃は変わらないということです。
このシステムの何が良いかと言うと、改札でクレジットカードやMetro Cardなどのカードを1回だけ出せば良いということです。
日本の場合、乗車時と降車時の2回、カードをタッチする必要がありますよね。
ニューヨークに来て1回になったので、それはかなり楽だと最近感じています。
運賃を毎回確認する必要が無いのも良いですし、日本と違ってクレジットカードで地下鉄に乗れるのも良い点です(私はMetro Cardを使っていますが、近い将来廃止になると言われています)。
ちなみに現在、運賃は$2.90です。
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↑MetroCard 上が通常版で、下が今冬限定版のインスタグラムver.です。
路線名が簡単
日本の地下鉄って、名前が難しいと思いませんか?
というのも、日本の場合地名に基づいて路線名が決まるので、東京だと銀座線や丸ノ内線、大阪だと御堂筋線や谷町線、名古屋だと東山線や名城線、福岡だと七隈線など、それぞれその路線が通る町や地域の名前を冠していることが多いですよね。
しかしニューヨークの場合、地下鉄の路線名は数字かアルファベットでのみ表されるので、覚えるのが非常に簡単です。
例えば1番線であったり、M番線のような形です。
また、それぞれの路線は数字あるいはアルファベットと色で表されるので、例えば1・2・3番線は赤、B・D・F・M線は橙になっています。
これは特に、観光客にとっては優しいと思います。
なぜなら、外国人が初めて日本に来て、Marunochi LineであったりMidosuji Lineといった路線名をすぐ覚えるのはほぼ不可能だからです。
以上が日本の地下鉄と比べた時にニューヨークの地下鉄が優れていると個人的に思った点になります。
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意外と、皆さんが思っている以上に、良い点もあるんです。
ここがやばいよMTA
次に、私がニューヨークの地下鉄に乗って、やばいと感じた多くのことをここにまとめて行きたいと思います。
無賃乗車が多い
日本では考えられないことがアメリカでは当たり前のように起こります。
そのうちの一つが、地下鉄の無賃乗車です。
日本の地下鉄の場合、無賃乗車をしようとする人がほぼいないため、もしそれをしようとするとすぐに見つかりますよね。
なので、無賃乗車は大きな問題にはなっていません。
しかしニューヨークでは、残念ながら貧富の差が激しいため、無賃乗車をしたいという人が非常に多く、改札を飛び越えたり、下をくぐったり、内側からしか開かない非常用改札扉が開いた時に一斉に10人ほど中へ入ったりと、正直やりたい放題になっています。
もちろん警察や駅の係員もいるのですが、このような事例が多すぎて、全てを止めることは不可能なのです。
ですので、ニューヨークの地下鉄の改札前ではほぼ常に怪しい動きをしている人がいます。
そのような人が地下鉄に乗るので、治安は日本より当然よくありません。
汚い
次に日本で考えられないことは、地下鉄の車内・トンネル・駅全てが汚いということです。
これは本当に深刻です。
まず車内ですが、ニューヨークの地下鉄は24時間運行をしているので、夜中の需要が少ない時間帯にはホームレスの方が椅子に横になって寝ていることがあります(駅のホームの椅子は、ホームレス対策でしきりがあり、寝ることができないので、たまにホームで寝ている人がいます)。
夜中に限らず、日中でも空いている路線ではこのようなことがあり、残念ながら私も見たことがあります。
他にも電車の床に汚物(嘔吐では無い)が大量にあったり、車内全体に異臭がしたり、車両に落書きがあったりと、日本ではあまり経験したこともないようなことがニューヨークの地下鉄では多々起きます。
トンネルも至る所に落書きがあり、どのようにして落書きをしたのか非常に気になってしまいます。
駅も残念ながら非常に汚いです。
まず、夏の間はニューヨークは日本と比べると非常に過ごしやすい気温なのですが、なぜか地下鉄の駅に入ると熱気が襲ってきます。
これがまずすごく不快な暑さなのですが、地下に入るととにかく駅が汚れています。
World Trade Center駅など綺麗な駅もありますが、それはごく一部で、ほとんどの駅は床や壁、通路などあらゆるところが明らかに汚いです。
日本の場合、東京メトロはかなり綺麗ですが、その一方で例えば名古屋市営地下鉄は駅構内が暗かったり、あまり綺麗ではないことがありますよね。
ですが、ニューヨークと比べた時に、東京と名古屋の綺麗さの違いはどんぐりの背比べのようなものです。
それぐらいニューヨークの地下鉄は汚いのですが、綺麗にしてもすぐに汚くなってしまうと思うので、もう諦めるしかなさそうです。
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↑車内です。椅子はプラスチックで、日本より座り心地は悪いです。
ホームからの突き落とし
これは本当に気をつけて欲しい事なのですが、ニューヨークの地下鉄では、ホームで電車を待っていたところ、見知らぬ人に急に突き落とされるという事件がたまに発生します。
実はついこの間もこの事件があり、ちょうど電車が進入してきた時に突き落とされた人がいたのですが、奇跡的に怪我で済みました。詳細はこちら(アメリカのニュースなので英語です、すみません)。
しかしこれは(当然)非常に危険で、死に至る確率が高いです。
ニューヨークの地下鉄ではホームドアは無い(あるわけが無いというのが正しい表現かも知れません。もしホームドアを設置するお金があれば、それより先に駅と地下鉄車両を綺麗にして欲しいです)ので、押されると線路に転落してしまいます。
ですので、ニューヨークで地下鉄に乗る際には、押されてもホームに落ちないように、壁側を歩くか、ホームの真ん中を歩く必要があるので本当に注意してください。
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これがおそらく、ニューヨークの地下鉄で最も気をつけてほしいことです。
寝られない
日本の地下鉄に乗ると、特に朝や夜に場合、席で寝ている客が非常に多いです。
これは、日本だから可能なことで、ニューヨークの地下鉄でこれをやると何が起きるか分かりません。
もちろん、ニューヨークの地下鉄はいわゆる会社員や学生も多く乗っているので、確実に危ないという訳ではありませんが、寝ている間にも鞄の中のものやスマホ、財布などを盗まれるということが十分に考えられます。
また昨年末(2024年)には、ホームレスの女性がニューヨークの地下鉄に乗って寝ていたところ、地下鉄に乗っていた移民に火をつけられ、その女性は車内で炎上して亡くなったという悲しい事件がありました(詳細はこちら、また英語です、申し訳ありません)。
運が悪いと、ものを盗まれるだけでなく、命を落とすことすらあるのです。
なので、ニューヨークの地下鉄では寝ている人は、ホームレスの方をのぞいて見たことがありません。
ニューヨーカーがそれだけ警戒しているので、観光客の場合はさらに気をつける必要があります。
よってニューヨークの地下鉄では寝てはいけませんので、気をつけてもらいたいですし、ニューヨークで1番危険なのは地下鉄車内と言っても過言ではありません。
格差社会を感じる
これに関しては、なかなか触れづらい問題ではあるのですが、ニューヨークの地下鉄はアメリカの格差社会を目の当たりにする場所でもあります。
というのも、赤ちゃんを連れた貧しい母親であったり、小学生位の年齢の女の子が一人でお菓子を乗客に売っている姿を私は見ました。
このような人々は、金銭的に生計を立てるのが難しいため、地下鉄の乗客からお菓子を買ってもらうことで、お金を得ようとしているのです。
もちろん乗客はそれを無視しますし、私もそのような人たちとは目を合わせないようにします。
またお菓子を売らず、ただ一人一人に声をかけてお金を得ようとする非常に貧しそうな身なりの人にも地下鉄に乗っている時に遭遇したことがあります。
このような人が車内にいた場合、絶対に目を合わせてはいけません。
目を合わせなければ、すぐ次の乗客へ行きますし、その後隣の車両に移動します。
ですので、ニューヨークの地下鉄では人が全然乗っていないような車両に乗るのは避けた方が良いのです。
もちろん毎回このような方に遭遇する訳では無いのですが、もしものことを考えた時に、ある程度乗客が乗っている車両を選ぶことをおすすめします。
また、お金を集めない代わりに奇声を発して車内を歩き回る人にも遭遇したことがあるので、日本の地下鉄の乗客のマナーの良さ、そしてアメリカの格差社会の闇をニューヨークの地下鉄では知ることが出来ます。
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以上が私が実際に乗って感じたニューヨークの地下鉄の問題点になっています。
まず、旅行で訪れる際にはできるだけ一人で乗らないようにしてください。
しかし、女性でも一人で乗っている方は多く、私(男)も一人で乗ったことがあります。
以下のことさえ気をつければ、一人で乗車していても怖い目に遭う機会が格段と減るので、ぜひ実践してみてください。
注意すること
最後に、ニューヨークの地下鉄に乗る際に気をつけたいことをまとめます。
1 寝ない。
2 ホームの線路側は歩かない。
3 お金をせがまれたり、お菓子の購入を要求されても、無視をする。
4 そのような人とは目を合わせない。
5 空いている車両は避ける。
6 深夜の利用は避ける。
今回は、私の実体験に基づいた、ニューヨークの地下鉄に関する内容でした。世界一の大都市、そして観光地が多いマンハッタンの移動で欠かせない地下鉄ですが、残念ながらニューヨークで一番ストレスが溜まる原因になっており、ワシントンD.C.やボストンなど他の都市の地下鉄よりも状況は深刻です。ですが、マンハッタンの場合、車での移動はあまり現実的ではない(混雑がひどい)ので、地下鉄に乗らざるを得ないのが現実です。ですので、ニューヨークに来られる際は、上の6点に注意して地下鉄に乗っていただけると幸いです。本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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↑駅はかなり年季が入っています。写真はブルックリンのAtlantic Avenue駅。
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