順番が前後してしまいましたが、11/15にボストンキャリアフォーラムに参加するため、ニューヨークからボストンへ向かいました。この際に、Amtrakという高速鉄道に乗って移動したので、それについて今日はまとめて行きたいと思います。
Amtrakとは
AmtrakとはAmericaとtrackを合わせて作った造語で、アメリカとカナダにおいて鉄道を運行しているアメリカの会社です。
アメリカ合衆国連邦政府が所有権を有しており、大多数の株も政府が所有していますが、運行と管理は独自に行われています。
アメリカ国内に幅広く路線を持っており、実に46の州とワシントンD.C.とカナダの3つの州に21,000マイルを超える線路が敷かれています。
行き先は150以上で、一部の路線は最高時速150マイル(240km/h)に達します。
歴史は日本の新幹線よりは浅く、アメリカ議会が1970年にAmtrakを設立し、翌1971年に有限責任化しました。
会社の目標は乗客の満足度向上とインフラ、特別事業への投資で、移動が車と飛行機が中心のアメリカにおいてそれらに代わる環境に良い交通手段であることが一番の利点です。
鉄道の使用は一般的に、車や飛行機と比べて少ないエンジンの消費で済み、空気を汚染することも少ないのに加えて、交通渋滞を緩和することにも繋がります。
Amtrakには停車駅が多いRegional Trainと停車駅の少ないAcelaの2種類の種別があります。
ニューヨーク・ボストン間の場合、Acelaを使用すると所要時間は4時間弱、Regional Trainの場合は4時間半弱で差は30分ほどなので、東海道新幹線に置き換えた場合はのぞみとひかりのようなものでしょうか。
Acelaは加速という意味のaccelerationと素晴らしさという意味のexcellenceの造語で、先ほど述べたように最高時速150マイルを出すことができます。
料金はAcelaの方がRegional Trainより高額ですが、チケットの値段は購入日、発車時刻などによって異なり、早めの購入あるいは早朝・深夜の便が安いことが多いですが、一部昼間でも安いチケットがあったりもします。
Acelaはホームページ上ではPremiumという表現も使用され、座席はbusinessとfirstの2種類があります。
一方で私が今回利用したRegional TrainはcoachとBusinessの2種類で、Coachが安い座席となっています。
しかし安い座席と言っても、2列・2列のシートで幅は非常に広く、コンセントとWiFi、リクライニングもついているので、高速バスよりは設備は断然良いです。
また私は使用しませんでしたが、日本の新幹線とは異なりcafeもついており、パンやドリンクなどの軽食を購入することもできます。
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↑Amtrakの車両。かっこいいですよね。
その日の予定
ちょうど家族がニューヨークに来ており、前日11/14に家族が私の留学先であるストー二ーブルック大学に来ました。
11/14は木曜日で、私は金土日と授業がないため、その後夜にニューヨーク・クイーンズのホテルに向かい宿泊しました。
木曜日のうちにボストンに向かっても良かったのですが、せっかく家族が日本から来たので、一緒に宿泊しました。
しかしこの決断が今回は凶とでました。
11/15は朝の4時に起床し、ウッドサイド駅5:02発のLIRR(通勤電車)に乗り、隣のPenn Station(ニューヨーク・マンハッタンにある中心駅)に向かいました。
Amtrakは5:44発の予定でしたが、初めて乗るので時間に余裕を持ち、5:12にPenn Stationに到着しました。
30分ほど余裕があったので、薬局により朝ごはんのサラダを購入し、Amtrakに乗ったら食べようと考えていました。
Penn Stationは中心駅のため、Amtrakの到着前にホーム番号がスクリーンに表示され、それを見て乗客はホームに向かいます。
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↑サラダは栄養満点で美味しかったです。Penn Stationを利用する際には、このように薬局等で軽食を買うことができます。しかし、小さな駅の場合は売店が充実していないことが多いです。日本の場合、新幹線停車駅は停車する本数が少ない駅でも、売店があることがほとんどなので、これも驚きです。
問題発生
薬局でサラダを購入したあと、5:30過ぎにアナウンスがあったので、track 9の列に並びました。
その時、私が乗る予定だった5:44発のボストン行きの他に、5:45発のワシントンD.C.行きのAmtrakも予定されていました。
しかしこのアナウンスではどちらの列車なのかに関しての説明はなく、後ろに並んでいた男性と話したのですが、彼はワシントンD.C.に向かうとのことで、しかしどちらの列車の列なのか分からず困惑していました。
その後出発予定時刻の5:44になっても一向にスクリーンに情報が表示されないのでAmtrakのアプリで一旦乗る列車の情報を確認したところ、11分遅れていると書かれていました。
ですので1回安心して待っていたのですが、その後も一切アナウンスはなく、ついにスクリーンから5:44発ボストン行きの列車の表示が消えてしまいました。
一瞬だけboarding(搭乗)の表示が出たものの、停車ホームの情報が表示されることはなく、結局乗ることができませんでした。
初めてのAmtrakでまさかの展開となり正直信じられませんでしたが、まずはPenn Stationの駅係員に状況を確認しに行こうと考えました。
すると私と同様に5:44発の列車に乗れなかった客が皆customer service(お客様相談)の前に集まりだしたのです。
まだ朝の6時頃だったのにも関わらずこの混乱で非常に混雑し、その中で係員が状況を説明し始めました。
これが日本だったら、鉄道会社は必ず謝罪をするでしょう。
しかし、アメリカなので一切そのようなことはなく、ただ「スクリーンに何らかの問題が発生し、列車は定刻通りに到着したものの、ホーム番号を知らせることが出来ず、そのまま出発した」と説明されました。
遅延や運行打ち切りではなく、もう出発してしまったので、次のボストン行きのAmtrakを待つ以外に方法はありません。
そしてその次の列車はなんと2時間後の7:43発だったのです。
つまり5:44のAmtrakに乗るために朝4時に起床したのにも関わらず、Penn Stationで2時間半ほど結局滞在することになったのです。
乗客は全く悪くないのにも関わらずAmtrak側のトラブルで、その朝ボストン方面へ向かう用事のあった乗客は2時間も足止めを食らってしまい、日本の公共交通機関でここまで酷い仕打ちを受けたことがなかったので、尚更衝撃を受けました。
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Penn Stationは大きな駅なので、待合室があり、そこで2時間待ちました。それにしても、この時はかなり腹が立っていました。
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↑AmtrakのPenn Station駅。地下鉄やLIRRとは異なり、非常に綺麗です。多くの乗客が並んで待っていますよね。ホームはこの下の階にあり、エスカレーターで降ります。
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↑このように、出発時間と使用ホームは通常、このスクリーンで知ることができます。Penn Stationは非常に大きな駅で、複数の鉄道が乗り入れています。上がAmtrakで、下が通勤電車のLong Island Rail Roadです。これはLIRRと呼ばれており、普段私はストーニーブルックからマンハッタンへ行くさいに利用しています。
日本の公共交通機関の素晴らしさ
今回Amtrakという、アメリカの鉄道で最も権威の高い会社を利用したにも関わらず、このように信じられない経験をしてしまいました。
Penn Stationで次の列車を待つ間、もちろんストレスも溜まりましたし、睡魔にも襲われましたが、改めて日本の公共交通機関の正確さ、緻密さに感心させられました。
例えばJR東海が東京から新大阪まで運行している東海道新幹線、本数はAmtrakよりずっと多いですが、私は未だに一度も遅延に巻き込まれたことはありません。
確かに最近は設備の劣化や天候により大幅に遅延することもありますが、その際の対応はアメリカと比べて格段に良いですよね。
またアメリカの鉄道は主要駅の場合停車するホームが出発の10分前ほどになって初めてわかるので、既に基本的には決まっている日本の鉄道の計画性の高さも、改めて素晴らしいと感じました。
そして、アメリカでは日本と異なりやはり謝るという文化があまりない為、謝罪に慣れている日本人の私にしてみれば、非常に対応が雑だと感じましたが、アメリカ人はそこまで思っていないのかも知れません。
結局ボストンの到着も2時間遅れ、その日の予定が狂ってしまいました。
よってアメリカでは常に列車の遅延やキャンセル等、不慮の事態を考慮しておく必要があり、多くの人が車移動を好むのが理解出来ました。
もしアメリカでAmtrakに乗る予定のある方は、このようなことが起こる可能性があることを覚えていただくと幸いです。本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました(11月の内容なので、投稿が遅れ申し訳ありませんでした)。
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